音楽雑記帳 I feel fine

好きな音楽や所有している楽器の事、自身の音楽活動などを中心に色々書いています。

「 ロックミュージック進化論」とジョン・レノン

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渋谷 陽一 著
ロックミュージック進化論
1980年2月
NHK音楽シリーズ〈4〉
内容「BOOK」データベースより
ビートルズの登場から、ハードロック、グラムロック、パンクロック、そしてプリンス、U2までと、ロックミュージックは時間の流れとともに絶えず変化し,進化してきた。ロックと時間を共有してきた著者が、みずからの体験をもとにその歴史をたどり、現在のロックの置かれた位置、そして全体像を明らかにする絶好の入門書。巻末に、ピーター・バラカン山川健一との対談を収録。

1990年10月新潮文庫より文庫化

 

自分が「ビートルズ」を好きになっていった最初の入口は、「ポール・マッカートニー&ウイングス」からでした。

ロディアスな楽曲とポールの歌声を聴いてファンになり、幻となった日本公演も行く予定でした。

それからビートルズも聴き始め、ポールの曲を中心に好きになっていきました。

その中でも「ヘイ・ジュード」はこれまでで一番衝撃を受けた曲となっています。

ポールと並び、ビートルズの双璧となっていたのが「ジョン・レノン」でしたが、独特なハスキーボイスや皮肉屋の言動が目立つその存在等、当時はあまり好きになれませんでした。

しかし、1980年12月8日、ジョンが凶弾に倒れ亡くなったニュースにはかなりショックを受け、悲しみ、ビートルズ再結成が永遠に無くなった事に落胆しました。

それからしばらく経ち、近くの図書館で見つけたのがこの本です。

ビートルズを始め様々なロックミュージックの考察が書かれていて、非常に興味深い内容でした。

中でも、ジャニスジョプリンと、ソロになってからのジョンレノンを対比させた文章は一番興味を惹きました。

ジャニスはドラッグで亡くなるまでの短い活動期間の中で4枚のアルバムを出していますが、荒削りだった1枚目「Big Brother and the Holding Company」から徐々に完成度が上がっていき、最後のアルバム「Pearl」が最高傑作であるのに対し、ジョンはソロになってからの1枚目「ジョンの魂 John Lennon/Plastic Ono Band」、2枚目の「Imagine」が最高傑作で、3枚目以降はアルバムを出す毎にクオリティが落ちていったというような内容が書かれていました。

この本が出版されたのが1980年の2月なので、まだ「Double Fantasy」が出る前、ジョンが亡くなる前でしたので、そういった考察をされたのかもしれません。

その後1990年にこの本が文庫化された時には、ジョンとジャニスを対比させた文章は書き換えられていて、それぞれ個別に書かれていました。ジョンがアルバムを出す毎にクオリティーが落ちていったというくだりも無くなっていました。

<文庫版>

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だた自分がこの本の中で一番心に残ったのは、著者が絶賛していたジョンのアルバム「ジョンの魂 John Lennon/Plastic Ono Band」と「Imagine」がどれだけ素晴らしい物なのだろうか、という事でした。

それを確かめたのは初めてこの本を読んでから数年後、社会人になり、それなりに仕事の苦労や人間関係の悩みも増えた時期でした。

ふとこの本の事を思い出し、導かれるように「ジョンの魂 John Lennon/Plastic Ono Band」と「Imagine」を聴いたのでした。

 アルバム「ジョンの魂」の1曲目、暗い鐘の音から始まる「Mother」

本の中でも書かれていたジョンの生い立ち、幼い頃から側に居られなかった母への想いを叫ぶように歌うジョン。のっけから引き込まれていきました。

シンプルでありながら、美しいメロディと詩でせつなく心に響く「Love」など、どの曲も直接心に訴えかけてきました。

2枚目のアルバム「Imagine」も素晴らしく、どちらも生身のジョン・レノンを直接心に感じるようなアルバムでした。

おそらく社会人になって、悩みも増したその時の自分の境涯だからこそ、そうして心に響いたのかもしれません。

しばらくはその2枚を聴きこみ、あまり好きではなかったあのジョン独特のハスキーボイス、頼りなさげで色気のある歌声にすっかり魅了されていきました。

その時になって、ようやくジョンレノンの魅力、素晴らしさに気付いたのです。

そうしてあらためてビートルズの曲を聴いてみると、ポールとは違ったジョンの良さが分かり、ポールにも増してすっかりジョンのファンになっていったのです。

現在、自分でビートルズのカバーバンドをやったり、弾き語りをする時は、ジョンのパート、曲を歌っています。

そしてあの独特なハスキーで色気のある歌声に少しでも近付きたいと、切に願っています。

 

「ジョンの魂 John Lennon/Plastic Ono Band」

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1.Mother
2.Hold on
3.I Found Out
3.Working Class Hero
4.Isolation
5.Remember
6.Love
7.Well Well Well
8.Look at Me
9.God
10.My Mummy's Dead

「Imagine」

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1.Imagine
2.Crippled Inside
3.Jealous Guy
4.It's So Hard
5.I Don't Want to Be A Soldier
6.Gimme Some Truth
7.Oh My Love
8.How Do You Sleep?
9.How?
10.Oh Yoko!

 


Mother - John Lennon/Plastic Ono Band