Martin(マーチン) D-28 購入&補修記③
- Martin(マーチン) D-28 購入&補修記② - から続く
前回ネットで色々調べた上で、D-28が鳴らない原因として以下の3つを考えました。
①最初に張った弦が細すぎて、D-28本来の実力(鳴り)が出せていない。
②長期間弾かずにケースに保管されてギターが湿気を帯び、本来の鳴りが出ていない。
③ネックの元起きが原因で本来のテンションが掛からず、ボディにしっかり振動が伝わっていない。
今回はその対処方法を実践です。
①の弦に関しては、現在の工場出荷弦「MSP4200 SP Acoustic 92/8 Phosphor Bronze Medium」を張ってみます。
②のギターの湿気に関しては、状態が見た目で分からないので、とりあえずギターをケースに仕舞わずしばらく弾きこんでいくしかないですね。
③ネックの元起きに関してはやはり工房修理となり、ネックを一度外して付け直す「ネックリセット」、ネックを熱して真直ぐに修正する「ネックアイロン」の方法があるそうですが、修理代がネックリセットが15万円以上、ネックアイロンで3万~5万円かかる様です。予算的にこれ以上出せない状況ですのでこれは無理ですね(;^_^A
とりあえずトラスロッドを締めて、弦がビビらない範囲でネックの反りを調整する方法が有るそうなので試してみる事にしました。
※参考にしたHP「新岡ギター教室 D-28ネック起きのまま使えるように調整する」
先ずは弦を張り替えて弾いてみると、最初に張ったエキストラライトからミディアムゲージへと大分太くなった為、音量はかなり大きくなりました。
しかし、試奏した時の高音の煌びやかさが全く感じられません。
続いてトラスロッドを調整して簡易的に元起きを修正し、弾いてみます。
多少各弦のバランスは良くなりましたが、音質はほとんど変化なし。
やはり根本的に補修しないと駄目なのかもしれません。
そこでネックアイロン補修が自分で出来ないものか調べてみました。
すると何人もの方々が、自作の器具を使ってネックアイロンでの補修を試みていらっしゃいました。
こうなったら自分でやってみる手もあるな。
もちろん失敗する可能性も大きいのでしょうが、ここはダメ元で挑戦してみるかと腹をくくりました。
そしてなるべく費用をかけずにやろうと、他の方々のやり方をお手本に機材を集めていきました。
熱源はスポット用のミニライトに白熱球を付けて長時間照らし、照射熱を利用する方法にします。これが一番コストがかからず、確実そうです。
出来るだけ100均で使える工具や材料を調達し、足りない物はホームセンターや大手通販サイトで購入。しめて3500円弱で揃えました。
ネック保護のあて木等はネックの湾曲に合わせて削り自作しました。
そしていよいよ補修開始です。
ネックアイロン補修の原理は、器具でネックを固定し修正方向へ圧力をかけ、ネックと指板の間の接着剤を熱で溶かし、接合面をずらす事で修正されるというものです。
器具をセットし、ランプを照射。
熱し過ぎない様、照射距離に注意してライトを固定。この状態で4~5時間置きます。
4~5時間後様子を見てみると、ライト照射辺りはかなり熱を帯び、ネックと指板の間からおそらく接着剤が少し染み出していました。
長時間の照射で思っていた以上に温度が上がってしまったようです。
ライトを消し、そのままの状態で1日放置した後、器具を取り外しました。
恐るおそるネックヘッド側からブリッジにかけて垂直に覗いてみると・・・
おお!ネックの元起きが見事に治って真直ぐになってる!
熱しすぎてはしまいましたが、ネックアイロン修正はとりあえず成功の様です。
一度外したミディアム弦を張り直し、ピックでストロークしてみると・・・
「ジャラァ~ン!」修正前に比べて、ボディの振動がより大きくなったと感じました。ネックの角度が変わり、Martin社が意図したボディの共鳴に近づいたのではないかと思います。 低音が豊かになり、音のバランスも良くなっています。
ただ、試奏した時の高音部の煌びやかさはまだ出ていませんでした。
後はこの状態を維持し、しばらく弾きこんで音が変わってくれるのを待ってみる事にします。
時間が経って、音質に変化が有った時にまたご報告する予定です。
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